東洋大学の例
日東駒専はここ数年難化しているという。
なんでも、東京一極集中を避けるため、定員を厳格化し、あぶれた学生は地方へ出ていかざるを得ない状況となっているらしい。
確かに東京は魅力的であり、生活に便利で楽しい。
東京から親元を離れて地方で暮らすことは、家賃等の生活費や学費を考慮すると、特に文系学生はあまりメリットを感じられないだろう。
この定員厳格化という政策は東京から出たくない受験生と、東京にあこがれる受験生のせめぎあいで競争が激化し「東京の大学に何としても入りたい」という一種の「東京の大学プレミア化現象」が生まれたのだと思う。
これまでも入るのは難しかったが、ここ数年特に「日東駒専が難化した」というのはそういったことが背景と考えらている。
その根拠となるデータが、ここ10年間の受験者層のレベルの変化ではっきりとわかるのだ。
日東駒専の中で唯一スーパーグローバル大学に認定され、最近特に人気の東洋大学を例にとりここ10年間の受験生のレベルの変化を調査してみた。
この表は埼玉県の公立高校(普通科)の偏差値を基準に東洋大学の合格者数を高校の偏差値の順番に並べたものである。
なぜ埼玉県の公立高校を選定したのか。
まず、埼玉県は東洋大学を受験する人が非常に多いことから、サンプル数が豊富であること。
地方の公立高校の偏差値50は偏差値の高い層も多く混ざっているのに対し、埼玉県の偏差値50では、輪切りされ偏差値層にばらつきが少ない。
埼玉県は面積はコンパクトなのに人口が多いことから高校偏差値も輪切りさせる。
また、公立高校としたのは私立にはいろいろなコースがあり、偏差値層も分かれており、統一した偏差値は出しにくい。
以上の理由により埼玉県公立高校(普通科)の偏差値を基準に調査を進めることとし、それが最も高い精度が得られるものと考えた。
東洋大学合格者は偏差値70以上の高校が増加率トップ
上の表は2011年度と2020年度を比較したもので、東洋大学に、どの偏差値層でどれだけ合格しているか比較したものである。
2011年度と2020年度では定員も増加し、全体合格者数は増えているが、この表からざっくりいうと、偏差値65以上で増加率が大幅にアップし、偏差値64以下は横ばい傾向にある。
10年前と比べると東洋大学の合格者は偏差値65以上の進学校が大幅に増えており、合格者の高校内訳をみると明らかに「難化した」といえる。
次のコーナーではもっと詳しく見ていくこととしよう。
※【出典】データ内の数値について:2011合格者数と2020合格者数の欄は週刊誌「サンデー毎日」に掲載された数値を参考としています。また、偏差値は複数で公表されている2019年のデータを参考としております。